Astepインタビュー|キービジュアル

三代続く照明一家から
未来へと踏み出すアステップの歩み 

後編

こちらの記事の後編です

2014年に創業した照明ブランドAstep(アステップ)。その創業者アレッサンドロ・サルファッティ氏へのインタビュー前編ではブランド立ち上げまでの経緯や、家族に根付く光への眼差し、そして3つの照明ブランドを生み出した世代の違いなどについて話を聞くことができました。

後編ではアレッサンドロ氏にジノ・サルファッティ氏の照明哲学や、アステップの製品作りなどについて話を伺っていきます。

Index

  • 継承と変化
  • – ジノ・サルファッティ氏の照明哲学
  • – ものづくりの構造変化
  • – 過去の傑作に学ぶこと
  • 関連商品
  • 関連記事
Astepインタビュー|ディスプレイ画像
Astepインタビュー|ディスプレイ画像
Astepインタビュー|ディスプレイ画像

Exhibition Design:BUNDLE STUDIO (Masato Kawai, Jacopo Drago) Photographer:Yoshihito Imaeda

継承と変化

— ジノ・サルファッティ氏の哲学は、お父様のリカルドさんやあなたにも受け継がれていますか?

ルーチェプランでもアステップでも、光の捉え方という意味ではジノの視点を継承しようとしてきました。ですから、答えとしては「イエス」ですが、多少の違いはあります。

主な理由は、時代が変わったこと、そして私たちが異なる人間であることによります。私たちはそれぞれの視点で照明にアプローチしましたが、はっきり言えるのは、三人の中で最も光そのものについて深く考えていたのはジノだったということです。実際に製品をデザインし、製造していたのも彼でした。

Astepインタビュー|モデル262の写真
Astepインタビュー|モデル262の写真

モデル262

祖父ジノはかつて「私はランプをデザインしたことはない」と言っていました。それはつまり、あらかじめ形を頭に描いたり、図面に起こしたりすることなく、電球をどう支え、どう遮光し、どう影を作るかを実際、手を動かしながら考えていたということです。そしてそれを、工房の職人たちと一緒に進めていたのです。

Astepインタビュー|アステップ製品が生産される様子
Astepインタビュー|アステップ製品が生産される様子

アステップ製品が生産される様子

一方、私と父の時代は、ジノが工房で手作業でものづくりをしていた1950 年代とは違い、より工業生産的なプロセスへ変わっています。その結果として「光がどう照らすか」という従来のテーマに加え、それをどうやって実現するか ―― つまり、エンジニアリングや製造の面でのソリューションも同時に求められるようになったのです。

Astepインタビュー|アレッサンドロ氏手元

私や父はまず自分たちのアイデアやビジョンをもとにデザイナーとブリーフィング(目線合わせ)します。そこからデザイナーが形を設計し、エンジニアが構造を詰め、それを製品化するという流れです。

Astepインタビュー|ペパの写真

ペッパーミルに着想を得たポータブルライト「ペパ」。デザインを手掛けたのはフランチェスコ・ファッチンです。

プロセスも、製造の手法もまったく異なりますが、「光の見方」そのものは、かなり共通していると思います。アステップでは、テクノロジーの進化により、祖父が目指した「携帯できる照明」が実現しているのも、それを象徴していると思います。

Astepインタビュー|別荘に設置されたジノ・サルファッティ氏のデザイン
Astepインタビュー|別荘に設置されたジノ・サルファッティ氏のデザイン

また、子供のころからジノの照明と一緒に過ごしてきたことも重要だと思います。今でもいくつかのオリジナルを自宅で使っていますが、1950 年代にデザインされたにもかかわらず、今でもなお当時と同じか、それ以上に魅力を感じるというのも不思議なことです。

Astepインタビュー|モデル2065 ペンダントライト
Astepインタビュー|モデル2065 ペンダントライト
Astepインタビュー|モデル2065 ペンダントライト

現存する希少なオリジナルモデルは、ガラス製で上部に放熱のためのホールが設けられている。

今、私の目の前にオリジナルのモデル2065 があります。私たちが製品化した初めてのジノ・サルファッティの作品でもあります。

今後もジノ・サルファッティの名作の復刻とともに、デンマークに拠点を置くアステップならではの北欧の風を取り入れた新作にも期待したい

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