トークセッションでマイクを手に話をするマイケル・アナスタシアデス氏とインタビュアーのYAMAGIWA社員

マイケル・アナスタシアデス
人気デザイナーの情熱とその原点 

前編

2024年11月に実現した世界的照明デザイナー、マイケル・アナスタシアデス氏の来日トークセッション。会場となったYAMAGIWA本社には、多くの業界人が集まり、氏のオリジナルブランドである「MICHAELANASTASSIADES(マイケルアナスタシアデス)」にかける思いや、デザイン哲学について話を聞くことができました。今回はその中から一部の内容を抜粋してお届けします。

Index

  • マイケル・アナスタシアデス氏略歴
  • 15年にわたるデザイン研究と成果
  • オリジナルブランドの設立
  • 転機となった2011年のユーロルーチェ
  • Flos と IC LIGHTS
  • アナスタシアデス氏の照明哲学
  • 鏡と自然光
  • 「Familiarity」と製品デザイン
  • IC LIGHTSのヒットと不思議な現象
  • 関連商品
  • 関連記事
トークセッションでマイクを手に話をするマイケル・アナスタシアデス氏

初めまして。マイケル・アナスタシアデスです。皆さんには照明が馴染み深いでしょうが、それ以外にも家具など多岐にわたるデザインを、ロンドンを拠点に行なっています。
出身は地中海の歴史豊かな島、キプロス島ですが、土木技師として学ぶために渡英しました。その後は、よりクリエイティブな仕事をしたいと思い、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートの修士課程ででインダストリアルデザインを学びました。

マイケル・アナスタシアデス氏のデザイン展示「Collection of Stones」の様子

COLLECTION OF STONES

デザインについて教育を受けたのは2年間に過ぎず、私自身これは少ないと感じていました。そこで卒業後も個人的に研究を続け、1993年から2007年の約15年間は1点物の実験作品を展開しました。実験は多くの物を私にもたらしてくれただけでなく、ニューヨーク近代美術館やビクトリア美術館など世界中の美術館で現在も展示されています。

スタジオ・マイケルアナスタシアデスのスタッフ集合写真

studio michaelanastassiades

「マイケルアナスタシアデス」を設立したのは、一切妥協のない純粋なデザインを行うためです。良いアイデアさえあれば、それを売る方法も見つかるという強い信念を持っていました。ブランドは初めの3年間、私一人でした。デザイナー以外にも、プロデューサー、営業など多くの役割を兼任し、時には自ら電話で自分の商品を売り込むこともしました。当時から既に、日本から多くの問合せをいただきました。

2011年のユーロルーチェでモビールシャンデリアが飾られているマイケルアナスタシアデスのブース写真

EUROLUCE, MILAN 2011

2011年には初めてユーロルーチェに出展しました。照明を売ろうと思ったら、やはり世界で一番有名で大きい展示会に出展するべきだと思ったからです。当時の自分が確保できた一番小さいブースに商品を展示し、プレゼンテーションを行いました。その際多くの人々に興味を持っていただけたことが今日まで自信につながっています。

FlosのIC LIGHTSコレクション展示画像

IC LIGHTS / Flos

フロスのスタッフと初めて会ったのもこの時でした。展示に興味を持ってくれた彼らは、以前から私を知っていたこともあり、フロスでの製品開発に誘ってくれました。そこで誕生したのがIC LIGHTSでした。
IC LIGHTSはその後10年にわたってブランドのベストセラーとなり、その後も多くの企業が私にデザインを依頼してくれるようになりました。現在もB&Bイタリア、ハーマンミラー、バング&オルフセンなど20を超える企業と協業しています。

ここで私の照明へのアプローチについて少し触れておきたいと思います。家具をはじめとして様々な物をデザインしてきましたが、照明には特別な情熱があります。
照明は1日の大半を消灯しているため、光が灯っていない時でもオブジェとして美しくあることが求められます。また、点灯時にはその表情が一変することも重要です。空間や周囲の物体、影との関係性などを考慮しながら設計することで、他のプロダクトデザインにはない特別な魅力が生まれると考えています。

マイケル・アナスタシアデスブランドの金属鏡「ビューティー・ミラー」。その名に恥じず、光沢を帯びた表面には僅かな凹凸が現れ、オブジェとして求められる美しさも備えている

Beauty Mirror / Michael Anastassiades

「マイケルアナスタシアデス」では照明以外にも様々なオブジェも手がけており、その一つが鏡です。鏡は物体を反射するので、仮想的な照明として捉えられます。
鏡が映す自然光は、私のインスピレーションの源です。自然に存在する光は何者にも代え難いと考えているので、自然光のもつ一瞬の美しさを製品に落とし込んでいくことを心がけています。

マイケル・アナスタシアデス スタジオの棚にはさまざまな形状の素材が分類され収められている。中には真鍮やガラスのオーブなど氏の作品を彷彿とさせるものも多数並んでいる

私のデザインに対するアプローチはシンプルなものです。「Familiarity(親しみやすさ)」という言葉をよく使いますが、製品を通して人々を驚かせたりするのではなく、心地よいと感じるもの、日常の中で親しみを持つものを作りたいと考えています。地球や月のような球体を、製品の中でよく使うのもそれが理由です。

球体や真鍮色といったマイケル・アナスタシアデス氏を代表する要素を備えたIC LIGHTSコレクションの2024年展示風景

FLOS AT PALAZZO VISCONTI, 2024

私は2007年当初から照明デザインに真鍮を使っていました。当時はまだ、照明に真鍮や球体を使う人は少なかったと思います。しかし、2013年に手がけたIC LIGHTS が世界的に有名になると、様々な人が私を訪れ、球体や真鍮を照明に使ったことを誉めてくれたのです。
これには驚いてしまいました。私が使う前から球体や真鍮は身の回りにあったものだからです。私はただ、それらに少しのアレンジを加えて製品にしただけだと思っています。

※当時はクロムメッキ仕上げの全盛期で、ダークカラー、ないしは真っ白な家具や内装にシルバー色の照明器具を合わせるのがトレンドでした。

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