
Report: 3daysofdesign 2025
ヴァーパンのデザインが誘う感覚の旅
スリーデイズ オブ デザイン2025レポートの第3弾は、「ヴァーパン」の展示をお送りします。本国デンマークにあるショールーム2フロアを使って行われた展示は、色や触感、音など五感を刺激し、インスピレーションを喚起する旅として設計されていました。
ヴァーパンは20世紀デザインの隆盛期に活躍したデザイナー、ヴァーナー・パントンのプロダクトを復刻生産するブランド。
日本ではルイス・ポールセンの「パンテラ」シリーズで知られますが、ヴァーパンでも数多くの人気照明・家具が生産されています。

パントンは色彩により人の生活に活気をもたらすデザインを目指したことでよく知られています。右の写真は2024年、パントン財団によるミラノサローネでの展示ですが、北欧デザインには珍しい鮮やかな色彩が選ばれていることがわかります。
今回の会場でもカラフルなプロダクトに並んでパントンの
“One sits more comfortably on a colour that one likes.(人は好きな色の上に座る方が落ち着く)”
という言葉も引用されていました。
以下では展示の中から特に印象に残ったシーンをご覧いただきます。

1st Floor
通りから目に入るのは1階の開放感ある空間。冒頭ご説明したとおり、私たちもヴァーナー・パントンと言えばビビッドな色彩を想像していましたので、白やベージュを基調としたヌーディーな空間は真逆に感じられて非常に驚きました。
これには今回の展示のメインテーマが密接に関わっており、例えばソファーとラグでは毛足が違ったり、ファン・シェルに使われている貝にも紋様があるなど、同じ白の中にも様々な表情の違いがあります。この印象の違いこそがブランドのメッセージとして強調されていた点で私達にとっても印象的なポイントでした。ヴァーナー・パントンの生前の主張と全く同じではないが、共通する部分がある。ブランドの現在を象徴する展示でもあるのかもしれません。

同フロアには今秋に登場する新作復刻家具「270Fアームチェア」も展示されており、アクセントカラーを提供していました。視線や注目の誘導という観点でも色がうまく使われています。こちらは1960年代、THONETから発表されていたモデルですが、今回改めてパントンのオリジナルブランドであるヴァーパンより発表というストーリーも含めて注目のモデルです。
B1 Floor
地下は1Fに比べショールームに近い空間になっていました。
私自身、かねてからパントンのアイテムは印象が強いこともあり、日常での使い方について悩むシーンもあったのですが、地下の展示は日本の住空間で取り入れることを想像しやすい設えとなっていたと思います。一見、使いどころが難しいアイテムも、こうして実例を体験することで、想像力が働きやすくなる部分があると思います。


地下にはショップ・イン・ショップのようなスペースも併設され、実際商品を購入することもできました。新商品のポータブルランプや、パントップ新色などパントンらしいカラフルなアイテムが並んでいました。



展示全体としては蝶を思わせる脚部を備えたバタフライシリーズのミラーやチェアなど、家具への注目も高かったのが印象的でした。今後、オンラインストアでもオーダー品としてのご紹介を検討していますので、ご興味がございましたら是非お問い合わせフォームよりご相談ください。
Report : Daisuke Kobayashi (YAMAGIWA)
Photo : YAMAGIWA
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