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Report: Milano Design Week 2025

7人のデザイナーがFlosと紡ぐ光のパビリオン

ミラノデザインウィークレポート第1弾は、世界でも1、2を争うデザイン照明のリーディングブランド、FLOSの展示をリポートします。

現地はデザインウィーク全体を通しても1、2を争う盛況で、その注目度の高さが窺えました。
今回のFlosの展示は7人のデザイナーは手がけた7種類のコレクションで構成されており、以下からはその順路に沿って紹介していきます。

Flos-展示風景

ボルトやアルミ使いのインダストリアルな要素を前面に押し出しながら全体としてはエレガントな印象

Flos-展示風景

フロアタイプは人の背丈よりも大きく、存在感がありますが、スリット状の光源により軽やかな印象すらあります

Flos-展示風景

テーブルタイプでは床一面に広がる放射状の光が特徴的

1. SuperWire

Design : FormaFantasma

まずはイタリア出身のデザインユニット、フォルマファンタズマが手がけたコレクション、スーパーワイヤー。フォルマファンタズマはフロスで、ワイヤ状のケーブルにガラスチューブを合わせた「ワイヤーライン」を発表してきましたが、今回のコレクションはアルミでできた6角形のベースと、ガラスパネルを組み合わせた新たなデザインです。シリンダ状のシェードにはLEDのストリップライトが納められています。

チューブ状の光源はスリットのような光を生み、隙間からは向こう側の風景が垣間見えます。この構造から、見る角度によって光の重なりが変わり、一つの照明でありながら多様な表情を楽しむことができました。

Flos-展示風景

有機的なフォルムは、隣に立つ人の姿を際立たせます

Flos-展示風景

素材自体軽量な上、取り付けもマグネット式なので浮かんでいるような印象があります

Flos-展示風景

素材にはタイベックという不織布が採用されており、遠目には和紙のような質感に感じられました

2. Maap

Design : Erwan Bouroullec

次に現れたのがエルワン・ブルレックによる「マープ」。地図がモチーフとなっているデザインです。手作業でつけられたしわは地図上の山や渓谷を思わせ、道路のような線も見てとれます。シェードに光が灯ると、その複雑な陰影が強調され、彫刻のような美しさがあり印象に残りました。

Flos-展示風景

 

Flos-展示風景

 

Flos-展示風景

 

3. Seki-Han

Design : Tobia Scarpa

続いてはトビア・スカルパ 1963年発表作品の復刻となるセキハンです。角度変更が可能な2枚の木製プレートが特徴で、これにより配光を変化させることができます。光源は60年代当時のものからLEDへと変更になり、安定性や取り扱いのしやすさが向上しています。

実際見た印象としては、シンプルな構造ながらも存在感があり、素材使いも相まって重厚さを感じました。ラインバータイプの照明は機能的にも便利で、それゆえ数多く発表されていますが、無機質な設えのものも多く、空間を選ぶケースも少なくありません。セキハンはシンプルなデザインの中に自然木を取り入れることで、住宅でも取り入れやすいと感じました。

Flos-展示風景

 

Flos-展示風景

フック部分にソケットがあり、接続はワンタッチで行えます・「つなげる」時には小気味いい感触がありました

Flos-展示風景

ライン状の長い構成は吹き抜けとの相性が期待されます・球状のパーツを用いて短い構成とすると、住宅でも活躍しそうです

4. Linked

Design : Michael Anastassiades

フロスを代表する傑作照明を数多く世に送り出すマイケル・アナスタシアデスの新作、リンクト。その名の通り、光源を内蔵したフック状のガラス管を「つなげる」ことで、鎖状の照明を設けることができます。

フレキシブルに長さや配光が変えられる機能性は、氏のデザイン「アレンジメント」を思い起こさせるもので、球体上のパーツにより一風変わったペンダントライトとしても活用することもできるようです。オブジェライクな存在感と、マイケルらしいユーモアあふれるデザインに数多くの人が魅了されていました。

Flos-展示風景

 

Flos-展示風景

天井面に生まれる陰影はジオメトリックなグラフィックアートのよう

Flos-展示風景

ガラスディフューザーとアルミニウム製のレールからなるシステムは灯数や配光を柔軟に変更できます

5. Nocturne

Design : Konstantin Grcic

スペースも後半に差しかかる頃、現れたコンスタンチン・グルチッチのノクターン。氏の既存コレクションである「ノクタンブル」と通底するガラスディフューザーを中心としたデザインです。写真から主に半球や円錐状のディフューザーから配光する様子が見て取れると思いますが、円筒形の下部パーツからも配光があります。これにより指向性のある光と間接光を同時に実現し、幻想的な光の広がりが生まれていました。とりわけ、天井面に現れる複数の円と放射状のシルエットが美しく、多くの人がカメラを向けていたのが印象に残っています。

Flos-展示風景

 

Flos-展示風景

高さや形状を交えたアレンジでリズミカルな構成が可能

Flos-展示風景

球体シェードの拡散光が鏡面仕上げの支柱に反射し、ラグジュアリーな煌めきを演出します

6. Jam Session

Design : Piero Lissoni

展示も終わり近づく頃、目に入るのがトーチ(たいまつ)を独自に再解釈した「ジャムセッション」です。コンクリート製のベースと、1-3本の細長いステッキ状の灯具から構成されています。ミニマルながらも存在感は抜群で、インテリアを彩る新時代のキャンドルとしてデザインされたようです。

灯具は拡散光を放つ球状のものと、主に上部に配光する逆円錐形の2バリエーション。柔軟に配光を変えながら、光の生け花のようにアイコニックなフォルムをアレンジできる点が興味深く、店舗や公的な空間での用途が想像できました。

Flos-展示風景

 

Flos-展示風景

高さや形状を交えたアレンジでリズミカルな構成が可能

Flos-展示風景

 

7. Luce Sferica / Luce Cilindrica

Design : Ronan Bouroullec

最後に我々を出迎えてくれたのがロナン・ブルレックのルーチェ・スフェリカとルーチェ・シリンドリカでした。その名の通り手吹きガラスの球体・円筒で、アルミの灯具を内包するデザインです。

大型のサイズながら透明感のあるガラスにより浮遊感があり、特に遠目から見るとシャボン玉が浮かんでいるような幻想的なデザインでした。先に紹介したエルワン・ブルレックのアプローチとは、素材も発想も違い、それぞれの個性を確立しているように感じました。

Flos - 展示風景

以上、Flosの新作照明7モデルの展示の様子をお届けしました。
現地で感じたのは、他ブランドと比べてもデザイナーの個性が際立っていた点です。空間自体もダイナミックでそれぞれの持ち味が表現されているように思いました。また、すべての展示に3面のディスプレイが設けられ、映像で丁寧に商品の背景を語っている点も、ブランドのデザインに対する真摯な姿勢が感じられました。

Report : Masumi Osada (YAMAGIWA)
Photo : YAMAGIWA

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