
Report: Milano Design Week 2025
Noritakeの陶磁器と光が織りなす新たな空間
今回は「ミラノデザインウィーク」から、ALCOVA (アルコーバ),Villa Borsani (ヴィラ・ボルサーニ) にて行われた「ノリタケ」の展示風景、そして空間キュレーションを担当したFaye Toogood 氏のインタビューをお届けします。
YAMAGIWAとノリタケは、ともにフランク・ロイド・ライト財団から指定され、商品復刻を行うブランド。今回はノリタケの陶磁器を中心とする展示に、YAMAGIWAからは3種の照明器具が参加し、空間を彩りました。
アルコーバはミラノと周縁地域の歴史的な建築やスポットを舞台に展示を行うプラットフォーム。今回の展示場所となったヴィラ・ボルサーニも1940年代に建造された歴史ある邸宅です。当時最先端のモダニズムを反映した建築は、周辺の緑豊かな環境と調和し、ナチュラルで有機的な表情を感じさせます。
YAMAGIWAから参加したのはFrank Lloyd Wrightのペンダント照明を源流とするスタンド照明「タリアセン2」。窓辺の自然光とタリアセン2の間接光が溶け合い、空間に柔らかな印象を与えていました。
展示には他にも「ヤコブソンランプ」のテーブルスタンドや、和風照明「ライ」のペンダントランプなども設置され、ノリタケの陶磁器を美しく照らしました。
Interview: Faye Toogood
インタビュー

— 今回の展示のコンセプトについて聞かせてください
この展示は私にとってとてもワクワクするもので、名古屋でノリタケと過ごした1週間を象徴しているように感じます。まさにその週の記憶を反映しているんです。とても特別な時間で、名古屋の工場で陶器の絵付けを手作業で体験したり、彼らのアーカイブを見せてもらったり、新しいコレクションを紹介していただいたりしました。
このインスタレーションは、日本を訪れた時間の一瞬を切り取ったものであると同時に、日本で出会った新しい友人たちとの関係を映し出すものでもあります。美しい陶器が並び、ヴィラでの照明との組み合わせによって、ノリタケの陶器をとてもエレガントに見せる演出ができていると思います。

— 会場の空間と照明の組み合わせについて、どのように感じられましたか?
私にとって、照明は常にチャレンジです。当初、空間に調和しながら、モノを美しく照らす― 今回は特に陶器を美しく引き立てるという点で、適した照明を見つけるのは簡単ではありませんでした。
ですが、このヴィラ・ボルサーニでは、自然と適した照明を選ぶことができました。ヴィラ・ボルサーニは、強い歴史的な趣を持ちながら、同時に非常に現代的なデザインも備えています。そういった点が、私にYAMAGIWAの照明コレクションを、この歴史と現代のデザイン、そして新しい価値観をつなぐ存在として捉え直させてくれたと思います。

— タリアセン2はYAMAGIWAでも人気のコレクションのひとつですが、ご自身の空間にスタイリングする場合、どのように取り入れますか?
放たれる光にとても雰囲気があって、柔らかく穏やかなので、とても使いやすいランプです。クラシックで象徴的なデザインなので、伝統的な空間にもモダンな空間にも、自然になじむと思います。

— あなたは家具のデザインもされていますが、デザインにおいて特に重視している要素は何ですか?
私にとってデザインで最も大切なのは「素材」と「形(ジオメトリー)」です。この2つは、時間をかけてじっくりと向き合い、深く考える重要な要素です。だからこそ、今回ご一緒している日本のパートナー(編註:ノリタケ社やYAMAGIWA)の皆さんも、同じように素材や形に強いこだわりを持っていらっしゃるのは、とてもありがたく感じています。
Interview: Kasumi Kubota(YAMAGIWA)
Photo: Giuseppe De Francesco
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