
Report: Milano Design Week 2025
マイケル・アナスタシアデスが
ダネーゼへの敬意を込めた特別展
ミラノデザインウィーク2025レポートの第4弾は、フロスの展示にも登場したマイケル・アナスタシアデスによる、自身のブランドの特別展示をお届けします。

会場はミラノ市内にある「ジャクリーヌ・ヴォドツ&ブルーノ・ダネーゼ財団」。元はビスコンティ宮殿の一部で、2006年からダネーゼ財団が事務局を構えていました。ネオクラシックの建築は18世紀のものですが、庭園の一部はなんと16世紀からそのままの状態という大変貴重な空間です。今回の一般公開は前回より20年以上を経た機会となりました。

今回の展示は歴史的建造物に直接干渉しないような手法を取り行われており、歴史やダネーゼブランドに対するアナスタシアデス氏の深い尊敬の念が感じられるエキシビジョンとなっていました。以下では展示の様子をお届けします。
Cygnet
「シグネット」は、アナスタシアデス氏が幼少時にし親しんだ凧揚げから着想を得たペンダントライト。和紙を前面に出した軽やかながら存在感あるデザインが特徴です。
光源が繊細なアルミフレームに内蔵されているので、軽やかで重量感のない印象です。対照的に全体のフォルムは非常にダイナミックで、このバランス感覚が非常に彼らしいと思いました。和紙の表情による荘かで優しい印象の光も素晴らしいものでした。
Frame
こちらはその名の通り、正方形のフレームそのものといったフォルムの「フレーム」です。各正方形はセル状になっており、容易に交換できるよう設計されています。
デザインのモチーフとなっているのは「窓」。アナスタシアデス氏は、窓を外側と内側、光と影の境界となるメタファーと捉え、こうしたデザインへと落とし込んだようです。一見メタルフレームでインダストリアルな感触がありながら、柔らかな光の表情が感じられ、そのコントラストも含め興味深いデザインでした。
会場では日本未発売のバンブー・ライトや、今期のYAMAGIWA照明カタログで新掲載されたチューブ・シャンデリアなど、その他コレクションも展示されていました。ブランドの世界観とダネーゼの歴史が融合した空間は唯一無二のインパクトを感じさせられるものでした。

会場では去年末にYAMAGIWA本社を訪れたのも記憶に新しいマイケル・アナスタシアデス氏と再会でき、展示について直接話を聞くことができました。

会場にはブルーノ・ムナーリやエンツォ・マーリといった、ダネーゼを代表するデザイナーたちの作品も展示されていました。今回、この場所で展示が行われたのは、アナスタシアデス氏がダネーゼ創立者の2人を敬愛していたことに加え、財団がこの場所から離れることになったことが大きな理由だったそうです。今回の展示はブランドのエキシビションの枠を超え、過去と現在のデザインの源流の継承というテーマが含まれていたように思えました。
Report : Masumi Osada (YAMAGIWA)
Photo : YAMAGIWA
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