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- S35LH ブラウンレザー H370mm
注意事項
・商品画像はイメージです。デバイスによって色味・質感が実物と異なる場合があります。
・天然素材のため、木目・節・風合い・色合いには個体差があります。
・ご注文後のキャンセルや仕様変更、イメージ違いのよる商品到着後の返品は承っておりません。
ストーリー
シリーズにはセットとして使えるフットスツールがあり、クロームメッキされたスチールパイプのフレームとフルグレインレザーのシートが共通しています。アームレストはステイン塗装されたビーチ材です。水牛レザーのシートとオイル仕上げされたウォルナットのアームレストを備えた特別仕様モデルもあります。
スペック
●フレーム:スチールパイプ(クロームメッキ)
●座面:水牛レザー(ブラウンレザー)
●生産国:ドイツ
●納期:ご注文後5〜6か月
※1脚:基本送料 1800円(税抜)
20世紀に起きたチェアの革命
1920年代はバウハウスをはじめとしたドイツ表現主義と、オランダのデ・ステイルムーヴメントに刺激を受けた建築家やデザイナーたちが新しい家具の開発に取り組んだ時期でした。当時すでに曲木家具で有名だったThonet(トーネット)社は、さらなる発展を求める中で自然とこうしたデザイナーたちと協力関係を結び、工業的な側面からその活動を支えるようになります。その最も顕著な成果がキャンティレバー・チェアです。木製の家具が当たり前だった時代にあって管状の鋼材を素材とし、4本の脚を必要としないチェアは椅子という家具に起きた革命でした。
トーネットとキャンティレバーチェア
キャンティレバーとは飛び込み台のように片側が固定され、もう片方は支えがないような構造のことを指します。この建築上の設計をチェアに持ち込んだものがキャンティレバー・チェアです。1927年に発表された原初のバージョンは、当時の新聞記事では「90度に配管された10本のガス管と木板の座面からなる家具」と紹介されており、その異質さが伺えます。その後、フレームはパイプを継ぐのではなく曲げて成形されるようになったことで、サスペンションとしての機能も獲得。完成形に近づいていくことになります。トーネット社では早い段階で特許を取得し、No.214の開発から約70年後の1930年から鉄鋼部門を設立。現代までキャンティ・レバーチェアの生産を続けています。
オランダ人建築家、マルト・スタムは1927年当時、シュトゥットガルト郊外で行われたモダン建築の住宅展覧会「ヴァイセンホフ・ジードルング」にキャンティレバー・チェアの最初期のバージョンを持ち込みました。当初はスチールパイプの弾力を利用せず、モダン建築にマッチするフォルムを追求する中で、4本の足を必要としないキャンティレバー・チェアを製作しています。スタムは展示会後もチェアのフレームの改良を続け、より細く洗練されたフレームで構成されたモデルを発表しています。
ヴァイセンホフ・ジードルングでの集宅展示の中心的な存在だった建築家、ミース・ファン・デル・ローエ。彼は会場で展示されたマルト・スタムによるキャンティレバー・チェアの革新的なプロトタイプに出会います。ローエはそこに審美的な視点を持ち込むことで、大きく優美な曲線を描く構造を持ったモデルS533をデザインします。このモデルは美しさだけでなく鋼材の伸縮を利用することで快適な座り心地をもたらす、サスペンションとしての機能も持ち合わせていました。バウハウスの「芸術と技術の統一」というテーマがここにもあらわれています
建築家、マルセル・ブロイヤーは当初からスチールパイプ家具の可能性に着目しており、キャンティレバー・チェアの成立より早い1925年、自転車のフレームから着想を得て室内用のチェアをデザインしています。キャンティレバー・チェアの登場後はその構造を取り入れ、より洗練されたものにしていきます。ブロイヤーにより開発された、脚部から伸びたフレームがそのままシート、アームにまでつながる「ダブル・キャンティレバー」方式によるモデル、S64はトーネット社のキャンティレバーシリーズの中で最も人気のあるものの一つになりました。
木工職人だったミヒャエル・トーネットは手作業による家具生産から工房を始め、曲木加工技術によってウィーンの産業に革命を起こしました。トーネット社は工場での分業生産や、パーツに分けて梱包する省スペースな輸送方式によって、産業・流通にまつわる様々な課題を解決させたパイオニアとしても知られています。1930年代初頭には、鋼管を曲げたカンティレバーチェアの製造に着手し、同時代に存在した教育機関、バウハウスを支えました。トーネット社は今もトーネット家によって経営が続けられ、ヘッセ州フランケンバーグで耐久性とサステイナビリティに配慮した製品を開発しています。