数学的カーブが生んだ
現代のシャンデリア

現代のインテリア照明を代表するブランド、ルイス・ポールセンから発表されたPatera（パテラ）は、有機的な美しさと機能性を内包した現代の「モダンシャンデリア」とも呼ぶべき、ユニークなペンダント照明です。巻貝や花弁など、自然界に見られる神秘の造形「フィボナッチ数列」に基づいて設計された螺旋状のシェードは、遠くからは格子状の白いボールのように、近づいてみると無数のセル・円、曲線が組み合わさった複雑なデザインである事がわかります。様々な表情を見せるパテラはアイコニックでありながら、空間の雰囲気を高める現代のシャンデリアとしても活躍します。

フィボナッチ数列に
基づく構造

パテラシリーズの配光は真下の開口部からの明るい直接光と、側面のダイヤモンド形のセルから360度に広がる柔らかな拡散光に分かれます。空間には強く明るい光で照らすべき部分（たとえば人物の顔やテーブルの上）と、ソフトな光で照らす部分（壁や天井など空間全体）がありますが、パテラはそれぞれに応じた理想的な光で、空間をバランスよく見せてくれます。
また、どの角度から見ても美しいパテラのフォルムは、それぞれのセルがグレアフリーの光を反射するよう綿密に設計されており、古来から数多くの芸術家にインスピレーションをもたらしたフィボナッチ数列によって、普遍的な美と機能が裏付けられているようです。

バリエーション

パテラは真球の定番モデル２種に、楕円形のパテラオーバルを加えた３種類。2015年に発表されたパテラは広々とした空間に、象徴的に吊るされることで、洗練された雰囲気を生み出すことから、住宅だけでなくホテルのロビーやオフィスの会議室など公共スペースでも広く採用されていました。
2021年に発表されたパテラオーバルは天井の高さに制限がある場所でも卓上に吊り下げやすいよう再設計されたモデル。より日本の住宅環境に適したサイズ感となっており、選択肢が広がりました。

Oivind Slaatto / オイヴィン・スロット

シンプルで詩的なデザイン・ソリューションで知られるデンマーク人デザイナー、オイヴィン・スロット（1978-）。彼のデザインはスピーカーや自動車、家具、照明まで多岐にわたり、今後ますますの活躍が期待されています。自然と光は彼にとって最も重要なインスピレーションの源であり、代表作であるパテラシリーズはその象徴的なもので、有機的な構造により、光と雰囲気のより洗練された関係を生み出しています。オイヴィンはデンマーク・デザイン・スクールで修士号を取得しましたが、その前にデンマーク王立音楽アカデミーで音楽を学んでおり、彼のデザイン・プロセスへのアプローチには音楽的明晰さが浸透しています。